明日は会社を休んで、昼まで寝る予定なのだが、きっとこの電話は明日の出社を促がすような気がする……。


イヤだなぁと思いながら、仕方なく電話に出た。


『お疲れちゃん。もう帰ってるの?』


歴史探訪の旅、編集長の山口が嬉しそうな口調で喋る。


だいたいこういう時は、ろくなことを頼んでこないのだ。


「まだ鮎沢です」


松田は露骨に面倒くさそうに喋った。