恵理子が部屋を出た後、残された美知の母瑞江は、ダイニングチェアーに腰を下ろした。


しなければならないことが山ほどあるのに、全く何もする気が起こらない……。


というよりも、色んなことが頭の中をグルグルと回って、どれから手をつければいいのか分からなかった。


とりあえず親戚や知人に葬儀のことを伝える電話をかけなければならないし、

クロゼットの奥底に仕舞い込んである喪服も用意しなければならない。