ーブロロロ…
そうして彼と二人、バイクで走り出した夜の街。
「家どの辺?」
「代官山のー…」
「えっ渋谷区内!?いい所住んでるねー」
「…そうでもないけど」
向かい風の中を、バイクはスピードを出し走って行く。
(…バイクなんて、乗るの初めて)
原付といえど守られる物がないというのは怖いもので、彼の腰元に回した手には自然と力が入る。
「怖い?」
「…少し、」
「あら正直」
「だっだってこんな不安定で怖いもの乗ったことないもの!」
「あはは、ちゃんと捕まってれば大丈夫」
「そうだろうけど…」
「…うん。だから、ちゃんと捕まっててね」
「……」