(…すごいな)
見栄っ張りの私には、きっと出来ないこと。
人に靴を貸して自分は靴下のままで歩いて、人に何か言われても、軽く笑い流して…。
彼みたいな人にはきっと、見栄なんてないんだろう。
飾ったり、取り繕ったりすることない
真っ直ぐな人
ーそして入金等残りの作業を終え、やって来た従業員駐車場。
「……」
私と彼、二人の目の前には一台のバイクが置かれている。
「…って、バイク?」
「うん。原付。一応二人乗り出来るやつだから大丈夫だよ」
「送るっていうからてっきり車だと…」
「車なんて持っててもそんな使わないだろうしさー。あ、でも大学出る頃には買おうと思ってるけど」
「…ってことは、大学生なの?」
「うん。今4年」
本当に学生だったらしい彼は、バイクからヘルメットを二つ取り出す。