パンプスを脱ぎ始めた私に、彼も同じようにスニーカーを脱いで私の足元へ差し出す。



「…?」

「俺の、履いていいよ。家まで送るし」

「え?でも…」

「こんな美人なオネーサン、裸足で歩かせるわけにはいかないでしょ」

「……」



どうしよう、一度はそう戸惑うものの、にこっと浮かべられたその笑顔に甘えるように、私は少しよれたスニーカーに足を入れた。



(…大きい)

脱げてしまいそうなくらいぶかぶかなその靴で彼と並んで歩き出す。



「おー、貴広。まだいたのか?つーか何で靴下?」

「んー?何か靴壊れたから脱いだ」

「脱ぐなよ」



途中すれ違った知り合いらしき人にも、沖くんはあははと笑い流す。

その笑顔に、相手も巻かれるように笑うとそれ以上問い詰めることはなく去って行った。