「それとも何、『君に会いに来たんだ』って言って欲しかった?」
「バカ言わないで。私は子供のおもりしてる暇なんてないの」
「子供って歳でもないんだけど…」
彼はそう笑いながら、通路で唯一まだ明かりのついているうちの店を見た。
「今日は随分遅いんだね」
「ええ、ついさっきまでお客様居たから」
「へー、よくやるねぇ。閉店時間だからって帰らせればいいのに」
「そんなこと洋服屋でやったらクレームに嫌な噂に大騒ぎになるわよ」
「アパレルって大変なんだね」
感心するように言う彼に、疲れから出る溜息をはぁ、と吐き出した。
「そうなの。ゲームセンターとは違うのよ」
「えー?俺らも大変だよ?柄悪いの多いし」
「それはお疲れ様。私もう入金行って帰るから。沖くんも早く帰ったら?」
「うん、そうしようかな」