「自分の意地や見栄ばかりを見て、大切なものを全部失くした」





一番大切にするべきものを

失くして、気付いた。





「子供を殺したって言われても、こんな私には泣く資格も怒る資格もないの」





泣く資格なんてない、怒る資格もない。

離婚したい、と逃げる資格もない。



許されることのない、私の罪。





「足を落とすまで、止まれないの」





脱げることのない、赤い靴





「……」



どこか穏やかに話を終えた私に、沖くんは伸ばした手でぽんぽんと私の頭を撫でた。