「そしたらある日、この前みたいにディスプレイ作業してた時に脚立から落ちちゃって」
今でも、しっかりと覚えてる。
『っ…!!』
体の落ちる感覚と、床に打ち付けた時の衝撃。
一気に騒ぎ出す周りの声。
「もしかして…」
「…うん。目を覚ました時には、もうお腹には誰もいなかった」
目を覚ましたら、病院のベッドの上。
『残念ですが、お腹のお子さんはー…』
医師の言葉が静かに響いて、駆けつけた将吾はうなだれていた。
『…ごめん、ごめんなさい…』
『……』
痛み、悲しみ、後悔。
いろんな感情に押し潰され泣いた私の隣で、将吾は黙ったまま。