記憶の中、あの頃の二人はいつも笑ってた。
普段はあまり愛想のない彼も、普段は見栄ばかり張ってしまう自分も、二人の時は笑ってばかりの毎日。
「結婚して少しして…私のお腹には、子供ができた」
「……」
『…今、何て?』
『だから…妊娠、してた』
『……』
『まだ、一ヶ月だけど…わっ、』
「妊娠したって言った時、すごく喜んでくれて…抱き締めてくれて。『一緒に育てて行こう』って約束したんだ」
『一緒に育てていこうな、結』
『…うん』
『…愛してるよ。お前も、この子も』
握った手は力強く、幸せだと思った。
私もあなたとこの子を愛してる、って。そう強く、感じた。