「…『赤い靴』って、童話知ってる?」

「へ?あぁ…あの、赤い靴を履いたら脱げなくなってってやつ?」

「うん。赤い靴を気に入った少女がいつも赤い靴を履いていて、育ての親が亡くなった時もその靴を履いて舞踏会に行き、いつしか靴は脱げなくなって少女の意思は関係なく踊り続ける…って話」





身寄りのない少女が、素敵な赤い靴を手に入れた。

教会には履いて行ってはいけないと知りながら履いて行き、人々の視線はこの靴への羨望だと思い込んだ。

そのうち育ての親が具合が悪くなった時も、彼女はその靴で舞踏会へと行ってしまった。すると赤い靴は少女の意思を無視し、勝手に踊り続ける。



脱ぎたい、だけど脱げない。自らの意思とは別にひたすら靴は踊り続ける。

斧で足を、切り落とすまで。