「…、」





ぽた、と床に落ちた涙。



痛む足。でも、靴は脱げない。私はひとりで踊り続けなきゃいけない。

神様が許すまで、苦しくても悲しくても

赤い靴は、踊る。



止まることなく

踊る 踊る 踊る





「…結さん?」

「……」



すると、小さく響いた低い声。

その声の方を見るとそこには薄暗いお店の入口に立つ沖くんの姿があり、彼はこちらを見て驚いたように駆け寄った。



「どっ、どうしたの!?大丈夫!?」

「…な、んで…」

「バイト終わりに会いに来たんだけど…うわ、派手に転んだねぇ」



そして転んだままの私を軽々と抱き上げ、お店の奥のスタッフルームへと向かう。