朝起きて、ひとりきりの家を出て、笑顔を作って働いて…夜帰宅すればまたひとり。

そんなことを繰り返す日々のなか、お店の入口を見ては彼が立っているんじゃないかと期待している自分がいる。





『結さん』





あの声が不意に聞こえたりして、でも顔を上げても当然そこには誰もいなくて…そんな幻聴まで聞こえ出すバカな自分に、泣きそうになる。



(…心が、擦り減る)



いつの間に、彼がこんなにも心を占めていたんだろう。



私の諦めにも似た毎日に、彼は光を射し込んでくれていた。

笑ったり、怒ったり、甘えたり

沢山の“私”を、教えてくれた。



けど、そんな彼もきっともう戻らない。



私はまた、ひとりで踊る。