・・・あの大騒動の後。
世界は、もうすっかり落ち着きを取り戻していた。
門川の屋敷も、人も、意外なくらい無事だった。
戻ってきた時に、ちょっと拍子抜けしちゃったくらい。
もちろんそれは、刺客部隊の活躍があったからだ。
でも実は、一番の功労者は刺客部隊じゃなくて。
敷地内に出没する、あのレインボー熊だったんだ。
熊たちが、七色の鮮やかな体で暴れまくって敵を迎撃!
まさに獅子奮迅の大活躍だったらしい。
・・・別に、熊は門川を守ろうとしたわけじゃないんだけどね。
自分達のテリトリーに勝手に入ってきて、大事な食料である雪を踏み散らす、不遜の輩。
見慣れぬそいつらに対して、熊の怒りが大爆発!
鬼神のごとく大立ち回りして、やっつけてしまったらしい。
普段は犬猫よりもおとなしいのに、食べ物の恨みは恐ろしいって教訓は、熊にも立派に通用するんだね。
今後、異常気象で雪が少ない年の無いよう祈るのみだ。
それと、騒動の最中に、敷地内のあちこちで白いヘビの姿が確認されたらしい。
背中に細い金の筋が走った、真っ赤なルビーのような目のヘビが。
沼の主さん、来てくれてたんだ。
ありがとう。会いたかったな。
世界はそんな風に、あっけないほど簡単に平穏を取り戻していた。
そして・・・