「・・・では行くぞ。阿・吽よ。結界を頼む」


「「承知いたしました」」


ブラザーズが揃って畏まる。


頼むよムクちゃん達。分厚くって強力で、しかも強~烈な結界、お願いね。


もう大盤振る舞いで、張って張って張りまくっちゃって!


「君達は屋敷の方の防御を頼む」

「はっ!」

「こちらの方はどうぞご安心を! 当主様!」


刺客部隊の面々が力強く答えてくれた。


頼りにしてるよ~、白装束のおっちゃん達。


ここ一番、遠慮無用で暴れ回ってね!


おっちゃん達はおぉ!っと掛け声を上げた。


「当然だ! この白装束の意味は死に装束!」


「いつでも命を捨てて戦う、我らの覚悟の証なのだ!」


そんな気合満々の面々に門川君は静かに言った。


「君達の実力と覚悟は充分に承知している。だからこそ、君達の存在と命を僕は大切に思っている」


「当主様・・・」


「僕がここへ戻ってきた時に、揃って君達の顔を見たいと願っている」


「・・・・・はっ!」


刺客部隊は全員、感動の面持ちで頭を深く下げた。


「よし、みんな行こう! お~い、アレクサンドロヴィチ3世~!」


あたしは上空で待機している亀に向かって手招きした。


おいでおいで! また背中に乗せてちょうだい!


塔子さんが微妙な表情で上空の亀を見上げる。


「アレクサンドロヴィチ、3世?」


「あの亀の名前だよ」


「・・・あの伝書亀、権田原当主様の亀じゃない? ひょっとして」


「うん。よく分かったね」


「やっぱり・・・」


ちょっとゲンナリっぽい表情の塔子さんの足元に亀達が降りてきた。