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ゆっくり、ゆっくりと両目を開けた。
そこには純白の世界が広がっていた。
あたしは首を左右に回して周囲を確認する。
ここはどこなんだろうとか、どんな世界なんだろうとか。
不思議と、そんな疑問のようなものは一切浮かばなかった。
来るべき場所へ来た。
周囲を見渡したのは、ただの確認でしかなかった。
前へ進んだ。
真っ白な空間だから、果たしてどっちが前で後ろなのかは定かではないけれど。
する事も無いあたしは、無意識に足を動かし前へ進む。
目的地があるわけではない。
歩いてどうなると理解しているわけでもない。
ただ、そうするべきだと単純に思うだけだった。
チラチラと目の前に何かが舞い落ちている。
白い何かが、たくさん、たくさん上から。
雪・・・だ。雪が降っている。
降る雪のお陰で、ここが広大な空間なんだと分かった。
前後左右、遥か彼方の果てないほどに雪が降っている。
音も無い。白以外の何も無い。なにひとつ存在しない。
あるのは雪だけ。
まるで地球上にたったひとり、雪と一緒にポツンと取り残されたようだ。
それでも心細さは感じなかった。
ここがあたしの来るべき場所なのだから、と。
ここであたしは孤独になるべきなのだからと、心は素直に納得していた。