「あの子、極度の方向音痴なの。それにこんな森の中で走って行かれたら……」
「海斗達に連絡しないとヤバイな」
「でも、美那達だけにして」
他の人達に連絡されたら、大ごとになってしまう。
それだけは避けないと。
「ああ、分かってるよ」
そう言って美那達に連絡を取り出した悠斗にお礼をいって考える。
幸い、ここが最後のコースになってるから良かったけど。
さっき、時間をみてここで終わりにしようって話になってて良かったわ。
ふと夏野くんをみると、瑠奈に電話しようとしてるみたい。
「夏野くん、瑠奈に連絡しようとしても無駄よ」
「………なんでだよ⁉」
「さっき、あたしも連絡したのよ。でも、出なかったわ」
「電源切ってるかもしれないだろ」
「それは絶対にないわ。あたし達が『切るな』って言ったから」
「じゃあ………」
「ええ、多分あの子のケータイ《圏外》になってるわ」
「………連絡のしようがねえじゃねえか」