呼吸を整えドアを開けると、



疼くまって座っていた亜姫がゆっくり顔をあげた。





涙の溜まっている瞳は、先程までの亜姫の瞳とは全く違っていた。




「美樹は、言わなかった。“頭を打ったんじゃない”って、言わなかった。」




亜姫は震えながら、話し始めた。




「起きた時には、美樹は両親に連れられて帰るところだった。

お母さんたちが“頭を打ったんじゃないか”って話してたのが聞こえて…。

そのあと、起きた私に気がついた美樹がこっちに来て、言ったんだ。


『誰にも言ってない。どうせ信じて貰える話しじゃあないから。

でも、私はあんたに殺されかけた。

汚い、怪物にね!』


って。」