美樹が今度は私に向かって手を振り上げた。




(………っ!!)



咄嗟に目を瞑ったけれど、痛みは感じなかった。



不思議に思い、ゆっくりと目を開けると、真っ青な顔をした美樹が、地面に膝をついていた。



「ゔっ……、あ、ぐぐぐぁ…」



声にならない音を出して、苦しむ美樹。




「あ、亜姫…?」




隣を見ると、下を向いていた亜姫が美樹を真っ直ぐに見つめている。




そんなわけ無い、と思いながらも、私は必死に亜姫に抱きついた。




「亜姫、やめて!やめてよ!ねぇ!」




亜姫は、ゆっくりとこっちに顔を向けた。




その、凍りつくような瞳を見た私は、一瞬、呼吸を忘れそうになった。




「璃、姫。ごめ、ごめんなさ…」




亜姫は、消え入るように呟き、気を失った。