(でもなんでだろう・・・。)
痙攣に侵されもがき苦しむ男の隣には
涙で顔をくしゃくしゃにした母がいた。
母は狂ったように男の肩を揺らし、そのたびに彼の重たそうな首が上下している。
そして母の口から出てくるのは「死なないでよ、紘毅!!」のセリフ・・・
「ママ、それは"紘毅"じゃないよ?パパじゃないよ?」
その一言だけ、言えればよかったのかな。
喉はカラッカラに渇ききっていて、嗚咽の一つも出てこない。
隣で立っている姉が震えながらぼろぼろと鳴いているのが羨ましく思えた。
その一言だけで・・・
その一言だけで・・・・・・・