え、原沢?
そんな女子いたっけ?
え、まさか、男?
ってか、誰?




・・・花、聞いてないよ。



突然、花の声を聞いてから、
明らかに挙動不審な男子生徒が1人。




・・・あいつが原沢か。



後ろ姿だけで分かるほど、焦っている。
その背中は、大慌てでカバンをあさる。


かわいそうに。
花、感謝しなよ。




案の定、原沢くんはその人だった。



ちょっと気弱そうな雰囲気。


でも、そっと教科書を差し出した手は、
意外と日に焼けて精悍だった。



「田川、もうちょい静かに・・・」

「えー?何でー?」




何で、って・・・。


花・・・ってば。