「あと3人!あと3人!」



まるで決勝戦のように、涌井君に向かってのコールが始まる。


私は手を合わせて、祈るように涌井君を見つめていた。


コールでプレッシャーになってはいけない。


ここまでパーフェクトで来たんだから、このまま3人を抑えて欲しい……。


神様……お願い……。


呼吸をするのも忘れるかのように、試合を見つめる。


涌井君はまず、1人目の打者を三振にした。


帽子をはずして、汗をぬぐう。



今日も日差しがかなりきつい。


私も暑いはずなのに、今はその暑さを感じない。


それほど、試合に集中しているからだ。


野球部員たちだけじゃない。


応援席にいるみんなも、一緒になって戦っているんだ……。