だけど、その声は確実に届いていた。


涌井君がかすかに笑ったからだ。


もしかしたら、気のせいかもしれないけれど……。


涌井君は、梅里商業高校の攻撃を3者三振でしめた。


反撃を許さないピッチングで、四葉台の応援の声がわく。


絶対に終わらせない……。


その決意を見せるかのように。





試合はそのまま9回まで進んだ。


初回から点数は動かず、1-0。


ヒットは打つものの、後に続かなくて得点にまで結びつかない。


涌井君はここまで、完璧なピッチングだった。


相手を1安打に抑えるほどの好調ぶり。


あと3人を抑えれば、準々決勝への扉が開く。