学校が夏休みに入ったせいか、こちらの応援もかなりの人たちだが、向こうも負けていない。


吹奏楽の音と、応援団の声が大きく、襲い掛かってくるような感覚になる。


野球の応援に来ていて、体が震えるのは初めてだ。


私でさえ、こんなに震えるのだから、きっとマウンドに立つ涌井君は……。




「いけいけ五十嵐!いけいけ五十嵐!かっとばせー!いーがらし!」



こちらの攻撃の応援の熱も入る。


五十嵐君がバッターボックスに入った時、涼子ちゃんは精いっぱい叫んだ。


明日、声が出なくなってもいい。


私も一生懸命に声を張り上げる。


カキーンという音がして、みんなは打球の行方を追う。


ボールは浅めに守っていた、ライトの頭上を越えて、コロコロとバウンドする。