「……涌井君は、後悔しなかった?」


「ん?」


「彼女さんとの事……」



綾美ちゃんとの事を知っているのに、私はやっぱりズルい。


涌井君は長いため息をついて、グローブをパンッと一回はたいた。



「……今度は後悔しない」


「え?」


「すべて終わったら、告げるつもりでいる」


「……っ」



涌井君の顔は真剣だった。


私は言葉が出ない。


それより、涙が出てこないか心配になった。



告白していないのに、失恋の決定打が出てしまったんだ……。



思っていた以上に、涌井君の綾美ちゃんへの気持ちは固かった。


これは、もしかしたら金子君の事を教えてしまった方がいいかもしれない。