「すいません、待ちましたか?」



「ううん。…はい」


そう言って手を差し出すと、躊躇うことなく凛ちゃんは握り返してくれる。



それが、嬉しくて。


名前のことなんて、忘れてしまっていたー…。





*****



ー数日後。



「お、おはようございますっ!先輩!!」



いつも通りの時間にインターホンを押したのに、凛ちゃんはすごい焦ってるみたいで、ほんの少しの段差に躓いてよろけてしまった。



「ひゃ…っ」



「大丈夫!?」