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「なぁ、一樹」



「何だよ、せっかく寝てたのに」



暇で暇でしょうがない芸術の時間。



特に何をするわけでもなく、ぼーっとさっきのことを考えていると、あることに気がついた。



「…オレ、凛ちゃんに名前、呼んでもらったこと、ない…」


…一度も。



「あ?それが何か問題でも?」



寝起きの一樹はすごく機嫌が悪く、近寄りがたい雰囲気を放っている。



「…問題しかない」


けど、今のオレにはそんなものどうってことない。



「ふーん…」