「どうせ、やっぱりあたしを彼女にしたくないって言いに来たんだと思うし」


「でも、ずっと凛のこと見てるよ?」


「そんなこと無いって。先輩に向かって暴言吐くような後輩に言うことなんてあるわけないよ」


「じゃあ、あたし先輩に要件、聞きに行ってくるね」


「…うん」


それから数分後。


本を読んでいたあたしの頭上から、聞こえるはずのない声が聞こえてきた。


「凛ちゃん」


あたしのことをちゃん付けで呼ぶ男子なんて、あの人しかいない。


「…先輩、何で…」

どう呼んでいいか分からずに、先輩、と呼ぶとなぜか嬉しそうな顔をして。


「凛ちゃん、初めてオレのこと先輩って…ってそれは今はどうでもいいや。」


「?」


「…凛ちゃん」