とにもかくにも、矢も楯もたまらなかった。



 幸せそうな二人。


 でも男の傍らにいるべきなのは、ポニーテールの女ではなく、私のはずだ。

 私のはずなのだ。

 そう思った。




 頭と胸が熱くて熱くて焦げそうだった。

 早く男の元へ行かなければ。

 あの女から取り戻さなければ。




 急げば急ぐほど人にぶつかり、足が縺れた。

 こんなこと初めてだった。

 やっとのことで301号室まで来た。