その後、お母さんは遂にわたしを育てられなくなった。

お金持ちだった彼氏と別れたとか何とかで。


わたしは養子に出された。

そのとき出会ったのが今のお母さんと、お父さん。

「家においで」

そう微笑まれた。

ここは大丈夫だと直感で分かった。

今まで経験してきた事。全てのアンテナが大丈夫だとわたしに教えてくれた気がした。

ゆりのにもこの人たちの様なあたたかさを、愛を。もっと早くに、もう少し長く感じさせてあげたかったな。


なんて、いまさら思っても、ゆりのはもうこの世にいないんだ。

あの声が、表情が、行動が。全てが私の頭にこびりいて離れない。


どんなときもゆりのはわたしの頭に必ずあった。

なにをしてても、どんな事を考えていても。


ただ。

竜我だけは違った。

竜我といるときだけは、ゆりののことは考えなくなっていた。

玲ちゃんと遥のときでさえ、思い出すと言うのに。


竜我に出会えて、わたしの本当に幸せ。