「ごちゃごちゃだよね。」

ははっと笑うひより。笑えていないが。


「ゆりのっていうのは」

俺が聞くとひよりは少し微笑んだ。


そしてこう言った。


「わたしの妹」


は?

ひよりって一人っ子じゃないのか?

ほんとにごちゃごちゃだな。


「ゆりのはね、わたしの唯一の兄妹だったんだ。わたしが8歳のときにできた妹でね。すっごくかわいかったんだよ」

本当の笑顔でひよりが笑った。

でも、その笑顔はすぐに変わってさっきと同じ顔になった。


「ゆりのは3歳のときに死んじゃったんだ。」

あまりの衝撃だった。

「あの人のせいなの。」

こんなに怒りのこもった声を俺は今まで聞いたことがあっただろうか。

「その日はね、すごく寒くてね。」

一呼吸おいてひよりはまた話し出した。