「まぁ、あんまり考えすぎないようにね~」

そう言って女はどこかに行ってしまった。


「大丈夫か?」

俺がそう聞くとひよりは力無く笑って

「ごめんね。家、帰っていいかな」

いいに決まってんだろ。

こんな状態で出かけたりしねーよ。



家に着いて、俺とひよりはすぐにソファーに座った。

「はぁ。」

ため息をついてから俺を見る。

「ごめんね。嫌なところ見せちゃって」

無理に笑ってるのが丸分かりだ。


少しの沈黙を先に破ったのはひよりだった。

「わたしね。本当のお父さんの顔知らないの。」

淡々と話すひより。その声にはもう何も残っていないようだった。

どう言う事なんだ?

本当のお父さん?

「あの人。わたしの本当のお母さんなの。竜我の知ってるわたしのお母さんは本当のお母さんじゃないの。」


意味わかんねぇ。

さっき会った女が本当の母親で、俺の知ってるのは本当の母親じゃない。と言うのか。