「ただいまぁ」

家に入っても竜我君の声は聞こえない。

ていうか、リビングの電気がついてない。

もしかして、まだ寝てるとか?


――コンコン

「はい」

竜我君の声がして、思わず胸が高鳴る。


でも、部屋にいたのは竜我君だけじゃなかった。

「おかえり」

そう言ってわたしに微笑んだのは・・・

「え・・・井口君?」

それと・・・

「・・・浜岡君?」

気まずそうに顔をそらす浜岡君。

「ほら、春」

そう冷たく言い放つ竜我君。すると浜岡君はわたしの前に立っていきなり頭を下げた。

「ごめんっ!!」

え?

あ。もしかして、あの日のことかな?

そんなの、わたしのせいなのに。

「こちらこそごめんなさい。浜口君のせいじゃないの。ごめんね」

そう言うと、浜岡君は天使のように笑った。

かわいい・・・。

わたしよりかわいい。