そんな風に自問自答していると鬼瀬君がわたしの顔を覗きこんできた。

「やっぱり、先生よんでくるわ」

違うの。違うの。

「ちがっ・・・」

わたしが焦っていうと鬼瀬君は怪訝な顔をしてわたしを見た。

「じゃあ、なんだよ」

「ひよりって、もう一回呼んで欲しいなぁって・・・」

さっきからずっとおまえ、おまえって・・・。

すっごく嫌だった・・・。


「俺の事、竜我って呼ぶまで呼ばない。」

鬼瀬君がニヤッと笑って言う。


えっ!!?

無理無理無理!!

「無理だよ!!恥ずかしすぎるよ!!」

わたしが真っ赤な顔で言うと鬼瀬君はがっかりしたように下を向いた。

「俺、一回も呼ばれたことないのになぁ。好きも一回しか聞いてないし。」

ちょっと待ってなにそのかわいい拗ね方。

え、どうしよう。揺らいじゃうわ。

「りゅ、りゅ、りゅ、竜我くん」

は?と鬼瀬君がいう。

「竜我だし。俺の名前」

「よ、呼べないよ。だから竜我くんじゃだめかな?」

おに・・・竜我くんを見上げながら言うと竜くんはコクリと頷いた。