何言ってんだこいつは。

あはは。と笑う井口に少しだけ頬が緩んだ。


『声聞いたら、会いたくなっちゃった。今から会えないかな?』

え?

なんだ、こいつ。

「いいよ」

自分でも驚いた。

なんとも思ってないのに。

でも今すごくあいつに会いたい。


もしかしたら優しい言葉をかけてくれるかな?なんて思いながら。



「ごめんね。急に」

申し訳なさそうに言う井口。

「ううん」


なんかこっちが申し訳なくなってきた。

何の理由もなくて、ただ優しい言葉をかけられたいからなんで・・・。


最低だ。うち。

「なんかあった?」

井口が不安そうにそう聞いてきた。

こいつなら大丈夫かな?

「かわいそう」それだけで済ませないかな?


いつのまにかうちは自分のこと、お母さんの事全部を話していた。