「ねぇ、ねぇ、なんで?」

興味津々で聞くひより。

「優しかったからかな?」

「へー。そうなんだー。優しいよね、浜岡君」


ニヤニヤした顔で言うひより。

「玲ちゃんは井口君のこと好きじゃないの?」


「は?」

なにを言ってるんだこの子。

「好きじゃないよ」


何の感情も湧きません。


興味がありません。


はー。好きな人か―。

いいね、そういうの。


「おぅい。そろそろ暗くなるぞぉ。早めに帰れよぉ」

教室の扉のあく音がしてそちらを向くとわたしたちの担任が仁王立ちで立っていた。


「はーい」

そう言うとコクっと頷いてどこかへ行ってしまった。


「そろそろ帰ろうか」

ひよりがそう言ったので帰ることになった。


「ばいばい」


これを言ったら一人になる。

家に帰ればまた一人。