―――――――ドキッ。ドキッ。

あぁ、恋をするとこんな風に胸が高鳴るんだろうな。

でも、わたしの場合は恋なんかじゃない・・・。

見てる。すっごい見てる。

あの、鬼瀬君が・・・。

わたし達の位置は今、鬼瀬君がソファーに座ってて、わたしがソファーの下にいる。

テレビの音なんか聞こえないくらい心臓の音が速い。

「・・・なぁ。」

ビクッ!

鬼瀬君に言われて恐る恐る振り返ると、鬼瀬君がこっちを見ていた。

すっごい見てる。

「髪・・・染めてんの・・・?」

髪??

「え・・・?染めてないけど。」

どうして髪の事を聞かれたのか分からなくて、不思議に思っていると鬼瀬君がわたしの髪に指を絡めてきた。

不本意ながら胸が高鳴る。

「じゃあ、なんで髪茶色いの?」

あぁ。

だから。

「あぁ。わたし元々色素薄いんだ。だから目も茶色いの。」

わたしがそう言うと鬼瀬君はぐっと顔を寄せてわたしの目を見てきた。

「ほんとだ。茶色い。」

ドキッ。

さっきの音とは違う。

「腹減った。」

ぽつりと鬼瀬君がつぶやいた。

「あ。わたしご飯作るね。」