どうしてそんなに驚くの?

「嫌じゃないの?」

嫌?

「どうして?」

「記念日とかってお祝いするものなんだよ?それをスルーされて嫌じゃないのかっていうこと」

そんなこと考えもしなかった。


「嫌じゃないよ。全然。」

どうしてそんなこと聞くの?

嫌じゃないよ。そんなこと。


「え~?でもさ、記念日って特別じゃん?そういうのやらない彼氏ってどうなんだろうね?」

鋭い目で言う菊馬君。


どうしてそんなこと菊馬君に言われなくちゃいけないの?


菊馬君の言葉は竜我の事を否定されてるように聞こえた。


「わたしはそうは思わないよ」

だめ。怒っちゃダメ。

別にそういう意味で言ってるわけじゃないかもしれないし。


「それでひよりちゃんは満足なの?俺だったら嫌だな。竜我みたいな彼氏」

この人と会って数時間だよね。

いきなりそんなこと言われて怒らないほどわたし心広くないよ。

「菊馬君には関係ないじゃん」

少しだけ抵抗する。これ以上言わせないで。お願い。

「そうなんだけどね。そういうのってちゃんとしないとさ。だめだと思うんだ。俺は。竜我は「やめて!!!」」

菊馬君の言葉の途中でもうそれ以上聞きたくなくなった。

気づけば大きな声が出ていた。