竜我side

春に呼ばれた。

屋上に来いって。


何の用だかはだいたい分かった。

あいつらが帰って来たんだ。


菊馬 亮人(きくま りょうと)


中学のころから亮人とはよくケンカした。

あいつはいつも俺たちにケンカを売ってきた。

修馬や春にも。

亮人には仲間がいて、青柳 航太(あおやなぎ こうた)
それから五十嵐 準(いがらし はやと)。

俺たち三人と亮人たちはことあるごとに対立していた。

中学3年になって本気で受験を意識し始めたころ、亮人たちが俺たちに言った。

「俺たちさ、海外行くことにした。だからケンカするのはやめだ。俺達はお前たちの上をいく男になって帰ってくる。」


そしてこう言ったんだ。

「俺達が帰国したときに、最後のケンカをしよう」


亮人は口の端をあげて言った。


そしてあいつたちは海外に行った。

正直寂しかった。

いつもなんだかんだ言ってつるんでたダチが急に居なくなった。


早く帰って来いと思った。

でも今はそうは思わない。

亮人には会いたい。またくだらないことで笑いあいたい。

でも俺が一番心配なのは・・・ひよりのことだ。