「原田暁ちゃん、だよね?」

突然名前を呼ばれた彼女は、驚いたように顔を上げた。
ガラス玉の瞳に自分が映って、目を逸らしそうになるのをこらえた。

「私、同じクラスの佐伯夢埜。良かったら、仲よくしてね?」

ひきつりそうになるのを必死でこらえ、なんとか笑顔を維持する。
彼女は見開いていた目をゆっくり細めて、笑ってくれた。

何故か、泣きそうだった。
初めて私に笑顔を向けてくれた。
その事実がこんなに胸を震わせる。