学校に着くと、門から校舎に伸びる桜並木を歩いて行く。

たくさんの生徒たちがあふれる朝の校門には、いろんな人が過ぎていく。
スカートの短い人、ルーズソックスの人、長髪の男子生徒、髪を染めた人―。
いつかは自分も、あんな風に制服を着崩すんだろうか、なんて思いながら人の波を抜けて行く。

教室に着くと、夏希に手を振り中に入る。

一番に目が行く。
窓際、前から三列目。
入学式の日と変わらない様子で、ブレザーのポケットに手を入れ窓の外を見ている。
今日も見えているのは後頭部。
染めているのに、サラサラの髪が風に揺れている。

見惚れるように入口に立ち尽くしていると、視界いっぱいに真知子の顔が迫った。

「ゆめ、何してんの?」
「まっ、真知子!」

驚いて思わず叫んでしまった。

彼女を見ていたことを気付かれないように、真知子に挨拶をしながら席に向かう。