家を出る時間が来て夏希が迎えに来てくれる。

「おはよう、体調はどう?」
「もうすっかり!」

いつも通りに笑った私を見て、夏希も嬉しそうに笑ってくれた。
朝の混雑した電車に乗り込むと、思い出したように夏希が耳打ちしてきた。

「ね、ゆめのクラスにさ茶髪のボーイッシュな子いるでしょう?」

誰の事だか一瞬で分かった。
一つだけ胸が大きく鼓動を鳴らして、それを表には出さないように平静を装う。

「多分、原田さんのことかな?」

見当がつくと態度で見せた私に、夏希は興味深々な態度を全面に出していた。

「うちのクラスでも話題になってるんだけど、ちょっと他にはいないタイプの子だよね!」

夏希は好奇心で瞳をキラキラさせていた。
態度を変えないように、変わらず平静を装う。

「そうだねぇ、確かに今まで見たことないタイプだよね。」
「顔つきとか結構可愛いのに、雰囲気かっこいいよね!」