≪私、暁の事が…好きなの…≫

瞳にいっぱいの涙を溜めて、消え入りそうなか細い声で言った。

元々自分はバイセクシュアルで、物心ついた時から両性愛者としての自覚があった。
そんな自分にとってその告白は決して不快なものなんかではなくて、むしろ喜ばしかった。
でも、その想いに頷くことはできなかった。

かつて喜びに勝る哀しさの存在を知った時、人を愛す感情そのものを消した。
本当は消えていないのかも知れない。

ただ少なからず、一人の誰かと向き合う余力はもうない。