中学三年の夏だった。

今と同様に女子達の間ですっかり王子様キャラが定着していて、自分もそれが自然になっていた。
そのキャラ設定のおかげか男女共に友人は多かったが、中でも一際懐いてくれている女の子がいた。

とても美人で頭も良くて、纏う空気が綿菓子みたいな子だった。
馬鹿を絵に書いたような自分とはまるで別世界の住人の様で、物語の中の人物にさえ思えた。

だけどある時気付いたら、その子は自分と話をする度頬を赤らめるようになっていた。
視線が合えば恥ずかしそうに目を逸らすようにまでなって…

気付いた時には、もう遅かった。