教室に入ると、夢埜がいたので奈々の言葉を思い出しながら笑顔で挨拶してみた。

「ゆめ、おはよ!」
「暁!おはよっ」

満面の笑みと目に見えそうなハートマークが語尾についていた。

「朝から王子様スマーイル」

その光景を見ていた奈々がそっと耳打ちする。

「うっせぇ」

肘で小突くと夢埜が奈々に気付き、笑顔を向ける。

「奈々、おはよう!」
「おはよーゆめ。借りてた漫画明日持ってくるから、もうちょい待ってね」

女の子同士のありがちな会話。