勝手なもので友人と呼べる存在が出来れば、眠気とさえ格闘していれば学校に行くこと自体を苦とは思わなくなった。
途中の駅で奈々が乗り込んでくると眠気もいくらかマシになる。

学生だらけの車両で揺られていると、奈々がふいに話題を変えた。

「昨日も話してたけどさー、やっぱ暁って見た目で怖い印象持たれると思うのね?
でも実際は違うんだしもっと自分から喋った方がいいよ!」
「んー?まぁ、そうだなー」

曖昧な返事を返しつつ気になっていたことを聞いてみた。

「そういや同じクラスにさ、夢埜ちゃんているじゃん?仲良いの?」

突然出てきた名前に不思議そうな顔をしながら、奈々は頷いた。

「中学は違うんだけど、昔から塾が一緒で仲良いの。」
「ふーん。」

自分で聞いておきながら、クールなフリをして窓の外に見え始めた学校に視線を移した。
奈々もそれ以上その話題には触れることはなかった。