長い気がした一日も気付けば終わり、奈々と帰りの電車に揺られていた。

空いた座席に座って他愛もない事を話しながら、気になっていた事を聞いてみる。

「奈々ってさ、今日声かけてくれたけどあたしの事怖くなかった?
第一印象怖いって、よく言われるんだよな。」

その言葉に奈々は明るい調子で言った。

「ちょっと怖かったよー!でも、暁って見た目めっちゃかっこいいし気になってたんだよね。
でも普通におもしろいし、なんかホストみたいに女の子扱うし、すぐクラスの王子様になれんじゃない?」
「王子様ってなんだよ」

笑いながら、そんな事を話していた。
楽しくて、でもやっぱり体に伝わる揺れが心地よくて、ゆっくり眠気が近づいてきた頃、聞きなれない声が聞こえた。