四時間は眠っていればあっという間に過ぎ、昼食の時間になってしまった。

とりあえず起きてはみたものの、独りきりで弁当を広げる気にもなれず外を見ていると、思いがけない事が起きた。

「あのー…、もし良かったら一緒に食べない…?」

後頭部から聞こえた声に驚きで言葉も出てこない。
振り向きはできたが声の主を見つめたまま沈黙が訪れた。

段々と目の前の女の子の表情が不安で曇っていくのに気付き、慌てて頷いた。
途端にその子はパッと笑顔になり、こちらも笑い返すと彼女の友達が待つ場所まで連れて行ってくれた。

声を掛けてくれたのは二つ後ろの席に座っている水原奈々だった。
奈々はいつも四人グループで行動していて、クラスでも一際目立つグループだった。
すぐに他の三人とも打ち解けて、奈々とは方面が同じな事もありその日には一緒に帰ることになった。