段々と痺れるように奥歯が痛くなった頃、ふいに視線を感じた。
誰かに見られているような感覚に、公園の入り口の方に視線を向けた。

誰かが、私にカメラを向けていた。

一瞬ドキッとして、目を見開いたけれどすぐに別の意味で驚かされた。
大きなカメラでほとんど顔は見えないのに、すぐに誰か分かってしまった。
“彼女”だった。

茶色い髪が太陽に透けて、キラキラ光りながら揺れていた。
泣いている姿をいつまでも見られていたくなくて、
表情は崩さないままその場を後にした。

驚きのおかげか、涙はぴたりと止まったが心の中は混乱していた。

どうしてここにいるの?

家がこの近くなの?

写真が好きなの?

気持ちを落ち着けるように、一つふっと息を吐く。