ばかばかしくて、怒ればいいのか泣けばいいのか分からずに、すがることもせず一人夜の住宅街をふらふら歩いた。
その結果がこの体調だ。
自分が情けなくて、結末が安易で今頃涙が出そうだった。

公園の中の少し小高い場所に向かう。
階段を上りながら足を踏み外さないように手すりを掴む。
一段一段上るごとに掴む手に力を込める。
そうしていないと泣きそうで、悔しかった。

階段を上りきると、一際大きな桜の木がある。
お花見に来るたびに、この木の下でキスをした。

『来年も一緒に見ようね』

そんな台詞はやっぱり物語や漫画の中にしか存在しない。
桜を見上げながら必死に涙が落ちないように、歯を食いしばる。