電車が減速し始めると、夏希に手を振ってドアの手すりを掴む。
少しおぼつかない足で、駅に降りた。

駅の改札を出ると、目の前にはピンクの絨毯を敷き詰めた公園があった。
二人で手を繋いで何度も通った公園。
去年の春が最後になってしまった。

中学一年から付き合っていた恋人に、昨日別れを告げられた。
なんともあっけない終わりだった。
三年間ずっと一緒に過ごしてきた。

春にはこの公園に桜を見に出かけた。
夏にはお祭りに行って、秋にはサッカーの試合が増える彼を応援した。
冬には一緒にクリスマスを過ごして、初詣にも毎年行った。
それなのに、別れの理由は高校が別になったことだった。

会えない日々が耐えられない。
存在が近すぎた故の別れだった。